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自己完結しているものには魅力がないってことかしら。不完全なものの方に確かに私たちはひかれる。欠けているものを補おうという本能が働くからだろう。
昔、テレビでバイオリニストの古澤巌さんが、チャールダーシュというジプシーの曲について語っていた時、音やリズムをわからない程度にごくごく微妙にはずすのだと言っていた。
完璧に弾くのではなく、ちょっと狂わせることが、人の心をつかむのだと。で、やりすぎるとまた下品になっちゃうと。感情を込めて弾く系のコメントはよく聴くけど、人の心理をいかにつかむかを知って、それを技術的にコントロールできるというのはすごいなと思った。
チャールダーシュは、スローに始まって、テンポがどんどん速くなっていって、最後はすごい速いから、上手な人が弾くと聴衆はとても盛り上がる。バイオリン弾きの腕の見せ所みたいな曲なので、ストリート・ミュージシャンが弾いているのを、私が住んでいるニューヨークでもよく見かけるし、旅先のヨーロッパでもよく見かけた。
でも、みんなちょっと最高速になったところでスピードについていけず、つまり結局自己満足で巧いつもりなのが聴いてる側にはあらが見えたり、音楽としてぶっきらぼうというか、「速く弾けたね、すごいね」で終わったり。
古澤巌さんのチャールダーシュは色気あります。よかったら聴いてみてください。音楽の性、生演奏にはかなわないけど。
→マドリガル(シモネッティ、モンティ、リスト等)